ビジュアル・ニュース解説

LEDってどんなもの? 青色LEDで何ができるの?

2014.11.3 掲載
青色発光ダイオード(LED)の発明と実用化への貢献により、日本の3氏が2014年のノーベル物理学賞を受賞しました。青色LEDの実用化によって光の3原色がそろったことであらゆる色が出せるようになりました。LEDは省電力・長寿命で素子そのものが光る特長から、照明やテレビ、携帯端末の画面のバックライトなどに広く使われています。今回はノーベル賞受賞であらためて注目を集めるLEDに関する基礎知識、青色LED開発の経緯、関連業界の動向などについて解説します。

4. 日本の素材・部品メーカーが関連部材市場をリード

4. 日本の素材・部品メーカーが関連部材市場をリード
 LED生産では日本のメーカーが技術の蓄積などで優位にあり、白色LED販売個数の世界シェアは日亜化学工業と豊田合成で約3割を占めています。
 関連部材でも日本の素材・部品メーカーが市場をリードしています。青色LEDの性能を左右する窒化ガリウム基板は、日立金属、住友電気工業、三菱化学の3社が安定した品質で製造できる技術を武器に、世界市場をほぼ寡占しています。
 ロームは液晶テレビやスマートフォンに使うLEDの明るさを制御する半導体で3割程度のシェアを持ち、ミネベアは液晶画面のバックライトで評価を受けるなど、日本企業の強さが目立ちます。
 最近は日本メーカーによる新たな用途の開拓が活発化しています。旭化成は15年から、殺菌効果のある紫外線を出す小型LEDランプの出荷を始めます。現在は紫外線の光源には水銀灯を使うのが一般的ですが、LEDに切り替えることで電力消費量を削減します。食品工場や医療機関などに販売し、20年度に売上高300億円の事業に育てる考えです。
 LED照明を使った無線通信の研究も進んでいます。高速で点滅する光をデジタル信号に変え、音声や映像などのデータを送信するものです。青色LEDの利用分野は今後さらに広がりそうです。
 ただ、白色LED市場は韓国サムスン電子などのアジア勢の追い上げで、企業間競争が激しくなっています。韓国勢はこれまでも生産規模の拡大によるコスト削減によって、半導体メモリーや液晶パネルなどの分野で日本勢から首位の座を奪ってきました。白色LEDでも同じことが起こる可能性があります。引き続き日本メーカーが世界をリードできるのか注目されます。
2014年11月3日掲載