格安スマホに関連して注目されるのが「SIMロック」の解除です。携帯電話やスマホには各通信会社が発行するSIMカードが入っており、これがなければ端末は各社の通信網につながりません。カードは着脱でき、特定の通信会社のSIMカードでしか端末が使えないように制限がかけられた状態を「SIMロック」、どの通信会社のSIMカードを差し込んでも使える状態を「SIMフリー」といいます。
日本の携帯会社は利用者を囲い込むため、端末にSIMロックをかけています。これが携帯市場の大手による寡占を招き、通信料金の高止まりにつながっていると指摘されてきました。海外では欧州や韓国などほとんどの国がSIMロックを解除しており、米国でも今年5月から一部で解除が始まり15年2月までに全端末に拡大。利用者がSIMロックのかかっていないスマホとSIMカードを個別に用意し、自由に組み合わせる利用の仕方が定着しています。
通信事業者同士の競争を促す狙いから、総務省は15年度にもSIMロックの解除を携帯各社に義務づける方針です。実現すれば、利用者は使っている端末を換えずに、通信料金が割安な会社に乗り換えられます。格安スマホサービスを提供するMVNOの顧客獲得にも弾みがつくとみられます。
日本ではスマホの保有率が先進各国に比べて低く、MM総研が14年4月に発表した予測によると、2013年度末の国内携帯電話契約に占めるスマホの割合は47%にとどまります。格安スマホの拡大に加え、SIMロック解除が義務化されれば、価格やサービスの競争が本格化し、誰もがスマホを持つ時代がやってくるかもしれません。