セット販売の先駆けとなったのはスーパーのイオンと家電量販店のビックカメラです。両社は14年4月、スマホ端末とMVNOのSIMカードをセットにして、通話付きで月3000円以下の格安スマホを相次いで発売。シニア層などスマホ初心者を中心に人気を集め、瞬く間に完売しました。以降、MVNOと流通大手が組んで端末とSIMカードをセットにして売り出す例が増え、利用者のすそ野も主婦や若者へと拡大しました。
格安スマホ人気の背景には、従来のスマホサービスが多くのユーザーにとって「機能が多すぎて値段も高い」ことがあります。携帯大手のスマホは月7ギガバイトまで高速でデータ通信ができる定額プランが主力ですが、実際には多くの人が1~2ギガバイト程度しか使っていません。またメールやネット検索ぐらいにしか使わない利用者には、大容量のデータをやりとりできる高速通信サービスは必要ありません。車なら高級車やスピードの速いスポーツカーに乗りたいわけではなく、軽自動車で十分という人がいるように、スマホにも別の選択肢が求められていました。「機能が多少制限されても、安く使えるスマホが欲しい」という潜在ニーズに応えたのが格安スマホだったのです。
最近、端末代込みで月1000円を切るサービスも登場し、高速データ通信サービス「LTE」が使えるプランも増えています。安い料金とサービスの拡充で、利用者の獲得競争が激しくなっています。
携帯大手も格安スマホ人気への対応を急いでいます。その1つが通信プランの拡充です。大手各社はスマホの利用料金に対する利用者の不満を解消しようと、低価格のデータ通信プランやデータ通信の容量を家族で分け合えるプランなどを投入しています。
自ら格安スマホ事業に乗り出す大手もあります。KDDIは14年8月、格安スマホ事業への参入を発表しました。KDDI本体から通信回線を借りて格安サービスを提供する新会社を設立し、流通系企業などを通じて提供します。