近年、相続に注目が集まっています。この背景の一つには高齢化の進行があります。被相続人が認知症になり、誰に何を相続させたいかの意思表示ができなくなったり、財産の把握が難しくなったりする例が増えています。被相続人が老人ホームや介護施設に入所し、住んでいた家が空き家になることも少なくありません。入所の費用や空き家を維持するための税金などの費用の負担は大きく、本人が亡くなる前に財産をどうするかについて話し合う必要性が増しています。被相続人が再婚したり、相続人となるはずの子が親よりも早く亡くなることが増えたりすることで、相続に関係する人が想定以上に広がることもあります。相続に伴う問題は以前より複雑になりつつあるといえます。
相続税の課税強化が決まったことも注目される理由の一つです。13年度の税制改正で、税金がかからない基礎控除額の縮小が決まりました。現行の「5000万円+法定相続人1人当たり1000万円」から、15年1月以降は「3000万円+法定相続人1人当たり600万円」に4割縮小されます。その分、相続人の負担が増すことになります。
税率も一部変更されます。最高税率(課税対象の遺産が6億円を超える場合)が現行の50%から55%に上がります。この改正により、11年には約4%だった相続税の課税割合(死亡者に対する課税件数)は6%程度に増える見通しです。