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高齢化と税制改正で注目される相続の基本と最新事情を知る

2014.6.16 掲載
人が亡くなったときに、その配偶者や子、兄弟姉妹らが遺産を受け継ぐ相続。高齢化の進行の影響もあり、相続手続きは以前より複雑になっています。また、相続税の課税対象が2015年から拡大され、課税への備えが必要な人の増加も見込まれています。今回は相続が法律上でどのように定められ、どういった場合に税金がかかるのか、注目されている背景、相続税制の改正内容などについて解説します。

4. 高齢化の進行で相続問題はより複雑に。納税対象者も拡大(1)

4. 高齢化の進行で相続問題はより複雑に。納税対象者も拡大(1)
 近年、相続に注目が集まっています。この背景の一つには高齢化の進行があります。被相続人が認知症になり、誰に何を相続させたいかの意思表示ができなくなったり、財産の把握が難しくなったりする例が増えています。被相続人が老人ホームや介護施設に入所し、住んでいた家が空き家になることも少なくありません。入所の費用や空き家を維持するための税金などの費用の負担は大きく、本人が亡くなる前に財産をどうするかについて話し合う必要性が増しています。被相続人が再婚したり、相続人となるはずの子が親よりも早く亡くなることが増えたりすることで、相続に関係する人が想定以上に広がることもあります。相続に伴う問題は以前より複雑になりつつあるといえます。
 相続税の課税強化が決まったことも注目される理由の一つです。13年度の税制改正で、税金がかからない基礎控除額の縮小が決まりました。現行の「5000万円+法定相続人1人当たり1000万円」から、15年1月以降は「3000万円+法定相続人1人当たり600万円」に4割縮小されます。その分、相続人の負担が増すことになります。
 税率も一部変更されます。最高税率(課税対象の遺産が6億円を超える場合)が現行の50%から55%に上がります。この改正により、11年には約4%だった相続税の課税割合(死亡者に対する課税件数)は6%程度に増える見通しです。
2014年6月16日掲載