相続税の課税強化で、住んでいる家を手放さざるを得なくなる人が増える可能性があります。相続税が課税されたとしても、一括で納税できるだけの預貯金などが十分にあれば問題はありませんが、めぼしい財産が自宅だけの場合には、これを売却して納税資金をねん出しなければなりません。相続税を支払うために相続人が住み慣れた自宅から追われるのは好ましくありません。こうした事態を避けるために、13年度の税制改正で小規模の宅地に特例で認められている減税措置を15年から拡充することを決めました。例えば、相続する土地の評価額を8割減にできる特例措置の対象面積を現行の240平方メートルから330平方メートルに引き上げます。
基礎控除の大幅な縮小により相続税の申告・納付をしなければならない人が増えるのは確実です。相続はいまや誰もが身近な問題として捉えるべきものといえます。相続にまつわるトラブルの多くは、被相続人が存命のうちに対策を講じることで避けられます。元気で健康な時に相続について親族で相談したり、必要に応じて生前贈与の活用を検討したりするなど、早めの準備がこれまで以上に求められそうです。