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日銀総裁って何をする人? ~その役割と日銀の組織について知る!

2013.3.4 掲載
日本銀行(日銀)の白川方明総裁は2月5日、任期満了を待たずに3月19日に辞任することを表明しました。日銀総裁は内閣が任命しますが、これには国会の同意が必要です。衆参両院で与野党勢力が逆転しているため後任人事の決定は難航する可能性もあります。今回は、日銀の組織の概要と総裁の役割、総裁人事のこれまでの経緯、総裁選びの仕組みなどについて解説します。

3. 総裁人事は国会の同意が必要

3. 総裁人事は国会の同意が必要
 日銀総裁は内閣が任命しますが、これは「国会同意人事」の対象です。国会同意人事とは、中立性や独立性が求められる政府機関のトップを決める際に、衆参両院それぞれの過半数の承認を必要とする仕組みのことです。いわゆる「衆議院の優越」はなく、政府が指名した候補者が参院で承認されなければ、政府は別の候補を探さなくてはなりません。日銀総裁以外の国会同意人事の対象としては、原子力規制委員長、公正取引委員長、NHK経営委員などがあります。
 中央銀行は政府からの干渉を受けず、独立した立場にあることが望ましいとされます。これは、概して政府は目先の景気浮揚や税収拡大に力点を置きがちで、景気を刺激するためインフレ的な金融緩和政策を求める傾向があり、金融政策の健全性を歪めてしまう恐れがあるからです。日本の場合は戦後長らく、日銀の業務や総裁人事などについて政府に強い権限があり、日銀が独自に金融政策を決定できない状況が続いてきました。そこで、日銀の独立性を明確にするため、1997年に日銀法が改正されました。これにより、最高意思決定機関としての委員会の権限が明確化され、独自の金融政策を実行できるようになりました。さらに、旧法にあった政府による総裁の解任権が削除され、これまで任命に際して国会の同意が不要だった総裁と副総裁についても、国会の同意を得た上で内閣が任命することになりました。
 一方で、日銀と政府の施策が大きく食い違っては国の政策運営が混乱してしまいます。このため改正日銀法は、政府との関係について「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」と明記。政府代表が必要に応じて委員会に出席し、議案を提出したり、議決の延期を請求できる旨を定めています。ただし議決権は与えられていません。
2013年3月4日掲載