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「地熱発電」の現状と課題について知る!

2012.7.16 掲載
天候に左右されず安定的に発電できる再生可能エネルギーとして注目される地熱発電。火山国である日本は、これまで豊富な地熱資源がありながら導入が進んでいませんでした。しかし、電力不足を背景に開発規制が緩和され、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まったことで開発計画が相次いでいます。今回は地熱発電のしくみ、関連企業の動向、今後の課題などについて解説します。

開発には地元の理解が不可欠

開発には地元の理解が不可欠
 地熱発電はアイスランドやニュージーランドといった他の火山国ではすでに電力供給の柱の一つとなっており、世界的にも発電量は拡大傾向にあります。世界の地熱発電プラントのシェアの約7割は東芝、三菱重工業、富士電機の3社が握っており、地熱発電の関連技術も国内に集積しています。今後国内市場が拡大すれば、日本の関連機器メーカーにとってビジネスチャンスが広がり経済への波及効果も期待できます。
 ただし、国内における地熱発電開発に対する地元の不安は小さくありません。先述の通り、これまでも温泉事業者などの反対の声があり、開発の壁の一つとなっていました。出光などによる福島県のプロジェクトに対しても、地元の温泉旅館関係者などからは、温泉の枯渇や成分変化を不安視する声があがっています。
 実際には、地熱発電で使用する蒸気や熱水は温泉資源がある場所よりもさらに深いところから取り出されることが多く、利用された熱水も地中に戻され、これらは温泉資源の枯渇の予防につながると考えられています。ただ、長期にわたって地熱発電を続けることによる温泉への影響が未知数なのも事実です。
 地熱発電の本格的な普及に向けては、温泉資源への影響などをしっかりと検証するとともに、地元の不安を解消し理解を得るための開発側の努力が引き続き求められそうです。
2012年7月16日掲載