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「地熱発電」の現状と課題について知る!

2012.7.16 掲載
天候に左右されず安定的に発電できる再生可能エネルギーとして注目される地熱発電。火山国である日本は、これまで豊富な地熱資源がありながら導入が進んでいませんでした。しかし、電力不足を背景に開発規制が緩和され、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まったことで開発計画が相次いでいます。今回は地熱発電のしくみ、関連企業の動向、今後の課題などについて解説します。

規制緩和により国内でも導入が進む兆し

規制緩和により国内でも導入が進む兆し
 こうした地熱発電をめぐる状況は、東日本大震災後の電力不足をきっかけに変わり始めています。再生可能エネルギーの導入量を増やすことが喫緊の課題になったことから、政府は2012年3月、地熱発電開発の規制を緩和する方針を決めました。地元の住民や温泉事業者との合意を条件に、自然環境の保護が必要な特別地域でも地熱発電所の建設が認められました。また、これまでも特別地域の外から斜めに掘る手法は認められていましたが、地下に真っすぐ掘り進む「垂直掘り」が容認され、より低コストでの地熱開発が可能になりました。さらに、7月には地熱発電を含む再生可能エネルギーを高値で全量買い取る「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度」も始まりました。
 こうした政府の積極的な後押しにより事業採算を見通しやすくなったことから、ここにきてエネルギー・資源関連企業を中心に地熱発電の開発計画が相次いでいます。例えば出光興産は国際石油開発帝石など9社で連携し、福島県の磐梯朝日国立公園内での地熱発電所の建設を計画しています。発電容量は原発約4分の1基分に相当する27万キロワットと見込まれ、20年ごろの稼働を目指しています。
 異業種からの参入の動きもあります。例えば王子製紙は大林組と組み、12年秋から北海道中央部の美瑛町にある社有林に地熱発電に適した量のマグマだまりがあるか共同調査を始める予定です。
 また、「地熱バイナリー発電」の導入の動きも広がっています。これは、熱水を利用して沸点の低い液体を蒸発させタービンを回して発電するというもので、従来は発電用に使ってこなかった低温の熱水も有効活用できます。
2012年7月16日掲載