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国の安全保障に関する防衛3文書改定、反撃能力保有へ転換

2023.2.20 掲載
政府は2022年12月、防衛費の大幅な増額や反撃能力の保有などを盛り込んだ新たな防衛3文書を決定。防衛費を国内総生産(GDP)比で2%に増やします。その財源は歳出改革などで捻出したうえで、なお不足する分は法人、所得、たばこの3税で確保する方針です。今回は大きく転換した安全保障政策の狙いやその背景などについて解説します。

3.財源確保に法人、所得、たばこの3税増税も

3.財源確保に法人、所得、たばこの3税増税も
 政府は今後5年間の防衛費43兆円のうち、40.5兆円は毎年度の当初予算で手当てします。22年度当初予算の5.2兆円の5年分の25.9兆円から14.6兆円程度の上積みとなります。このうち、国有財産の売却や特別会計の剰余金などの税外収入で4.6兆~5兆円強、決算剰余金の活用で3.5兆円程度、歳出改革で3兆円強を賄い、残りは24年以降の増税で確保します。
 自民、公明両党が決めた23年度与党税制改正大綱は、防衛費増額に向けて法人、所得。たばこの3税で27年度に「1兆円強を確保する」と明記しました。法人税は納税額に特例分を足す「付加税」方式で、税額から500万円を引いた金額の4~4.5%を上乗せします。所得税は税率1%の新たな付加税を設けますが、現在2.1%の東日本大震災の復興特別所得税を1%引き下げ、合計の税率を2.1%に保ちます。たばこ税は1本あたり3円相当の増税とし段階的に引き上げます。増税の時期は「24年以降の適切な時期」とし、税目ごとの税収規模なども23年に持ち越しました。これに対し、自民党内では増税による財源確保に反発する声が上がっており、防衛費増額の財源を巡る特命委員会で増税以外の財源を模索します。
2023年2月20日掲載