このほか、サイバー空間で攻撃の兆候を探知したり、発信元を特定して事前に対処したりする「能動的サイバー防御」の導入を明記し、法整備の必要性に触れました。日本のサイバー防衛はこれまで、攻撃を受けた後の対応に重点を置いており、反撃の仕組みは整っていませんでした。
防衛3文書改定の背景には、ロシアのウクライナ侵攻や、中国が台湾に軍事侵攻する台湾有事のリスクが高まっていることなどがあります。これらの軍事的な脅威に対し、自立した防衛体制の構築で備えます。そのうえで、米国との統合抑止に加わって一体で抑止力を高め、東アジアの国際秩序の維持を狙います。サイバーや宇宙といった領域でも米国と協力します。これまで日米同盟の下、日本は「盾」、米国は「矛」の役割分担で反撃能力を米軍に頼ってきましたが、自衛隊は迎撃中心のミサイル防衛体制から米軍と協力して反撃できるIAМDに移行します。自衛隊と米軍の調整を担う「常設統合司令部」も創設します。