ビジュアル・ニュース解説

ロシア、ウクライナへなぜ侵攻?

2022.4.18 掲載
ロシアが2022年2月、ウクライナへの軍事侵攻を始めました。ロシアは首都キーウ(キエフ)を数日で制圧する計画だったとみられますが、ウクライナ軍の強い抵抗などで侵攻はまだ続いています。ウクライナはどんな国でロシアはなぜ軍事侵攻したのか、侵攻によってどのような影響があるのかを解説します。

3.資源価格の上昇で世界の景気が減速する恐れ

3.資源価格の上昇で世界の景気が減速する恐れ
 ロシアのウクライナ侵攻の長期化で、ロシアだけでなく世界の景気が減速する恐れが高まっています。ロシアとウクライナは世界の小麦の3割、天然ガスの2割、石油の1割を供給しています。経済制裁によるロシアからの供給滞りが懸念され、天然ガスや原油などの資源価格が上昇。原油の国際指標のひとつである米国市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は3月上旬に1バレル130.50ドルの08年7月以来の高値を記録しました。小麦も国際指標の米シカゴ商品取引所の先物(中心限月)が3月上旬に14年ぶりに最高値を更新。インフレが加速して個人消費を下押しするとの懸念が強まっています。とりわけエネルギー資源を輸入に依存する国で経済見通しを下方修正する動きが目立ちます。
 日本国内でもレギュラーガソリンの店頭価格(全国平均、4月11日時点)は1リットル174.0円と08年以来の高水準が続いています。国が輸入して製粉会社などに売り渡す小麦の価格は4月から前半期(10月期)に比べ平均17.3%引き上げられ、過去2番目に高い水準となりました。日本経済研究センターによる日本の22年度の成長率予測の平均は3月は2.56%で、21年12月の3.03%から減速しました。
2022年4月18日掲載