ビジュアル・ニュース解説

サマータイムの利点と難点を知る

2018.9.17 掲載
夏に時計の針を進めることで、まだ明るい夕刻を余暇などにあてるサマータイム(夏時間)制度。2020年の東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として導入論が出ています。欧米など60を超える国が実施していますが、欧州では健康への悪影響から廃止を求める声が強まっています。今回はサマータイム制度の概要や国内外の導入を巡る経緯、期待される効果と課題について解説します。

2.終戦直後に国内で実施されたもののわずか4年で廃止

2.終戦直後に国内で実施されたもののわずか4年で廃止
 日本では終戦直後の48年にGHQ(連合国軍総司令部)の指示で実施されました。石炭事情の悪化や深刻な電力不足などを理由に制定された夏時刻法に基づき導入されましたが、日本人になじみがなかったうえ、残業の増加につながったなどと批判が強く、わずか4年で廃止されました。
 70年代に入ると、石油危機で強まった省エネ機運を背景に再び導入が検討されました。93年に通産省(現経済産業省)が「サマータイム制度懇談会」を設置。95年には導入を目指す超党派の議員連盟が発足し、2004年にも新たな議連が生まれ、それぞれ法案をまとめましたが、提出には至りませんでした。
 04〜06年には札幌商工会議所の主導で、北海道内の企業や行政機関などが就業時間を1時間早める独自のサマータイムを試行しました。北海道は緯度が高いため夏の日照時間が長く、消費拡大などの効果が期待されましたが、経済効果は限定的にとどまり3年間で終わりました。
2018年9月17日掲載