ビジュアル・ニュース解説

サマータイムの利点と難点を知る

2018.9.17 掲載
夏に時計の針を進めることで、まだ明るい夕刻を余暇などにあてるサマータイム(夏時間)制度。2020年の東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として導入論が出ています。欧米など60を超える国が実施していますが、欧州では健康への悪影響から廃止を求める声が強まっています。今回はサマータイム制度の概要や国内外の導入を巡る経緯、期待される効果と課題について解説します。

4.欧州委員会が廃止を提案する方針を決定

4.欧州委員会が廃止を提案する方針を決定
 サマータイムが普及する欧州では近年、「負担が大きいわりに省エネ効果が乏しい」「健康に悪影響を及ぼす」などとして、廃止を求める声が高まっています。欧州連合(EU)加盟の28カ国はすべてサマータイムを導入していますが、欧州委員会が18年7月から8月中旬にかけて、廃止の是非を問うパブリックコメント(意見公募)を実施したところ、84%が廃止を支持しました。これを受けて、欧州委はサマータイムの廃止を提案する方針を8月末に決定し、廃止が現実味を帯びてきました。サマータイムが40年以上続く欧州が廃止に動けば、日本の今後の議論に影響を与える可能性があります。
 東京五輪・パラリンピックの開催は2年後に迫っており、サマータイム制度の拙速な導入は混乱を招きます。国民の生活やビジネスへの影響が大きいだけに、コストと効果を見極めた議論が求められます。
2018年9月17日掲載