ビジュアル・ニュース解説

超高精細テレビ「4K」「8K」時代が幕開け

2017.12.4 掲載
解像度がそれぞれフルハイビジョンの4倍、16倍の超高精細テレビ技術「4K」「8K」。2018年12月からBS・CSで4Kの実用放送が始まります。これに先立ってテレビメーカー各社は4K対応テレビの販売に力を入れており、17年12月にはシャープが国内初の8K対応の液晶テレビを発売。総務省は東京五輪が開かれる2020年を目標に普及を目指しています。今回は4K・8Kテレビの特徴や放送業界・メーカーの動向、普及に向けた課題などについて解説します。

4.実用放送を見るには専用チューナーが必要

 4Kテレビは既に普及しつつあるものの、今販売されている機種は実用放送の受信に対応するチューナーを内蔵していないため、別途専用チューナーを購入する必要があります。そのままでは4K放送が見られないことに対する認知度がまだ低いため、実用放送が始まるとトラブルが起きることも予想されます。実用放送の開始を1年後に控え、総務省や放送業界団体は視聴方法についての周知・広報に力を入れています。
 また、地上波での4K・8K放送は今のところ予定されていません。データ量が膨大で、地上波は帯域が限られ対応できないためです。地上波放送のデジタル移行の際は11年のアナログ放送休止で大きなテレビ買い換え需要が生まれました。しかし、4K・8Kの実用放送が始まっても地上波のハイビジョン放送は継続されるため、買い換え需要は限られるとみられ、普及には官民が連携して4K・8Kの魅力をアピールしていくことが求められます。
 4K・8Kに対応する番組を提供するには、映像を撮影する高精度カメラや専用の編集機材、大容量の記録装置、データを届けるための伝送技術などが必要です。関連機器メーカーには大きな商機となる半面、テレビ局には設備投資の負担が重くのしかかります。18年に8K放送に参入するのはNHKだけで、民放各社は当面4K放送に注力します。
2017年12月4日掲載