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次世代無線通信規格の5Gでどう変わる?

2017.11.6 掲載
次世代の超高速通信規格「第5世代(5G)」のサービスが2020年にも始まります。自動運転車の安全走行を支え、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTの基盤として期待されており、国内外の通信大手が関連サービスの開発を急いでいます。今回は5Gまでの無線通信規格の進化の経緯、5G導入の暮らしや産業への影響、導入スケジュールや通信各社の実用化への課題について解説します。

2.暮らしや産業機器を大きく変える可能性

2.暮らしや産業機器を大きく変える可能性
 4Gでは通信が始まるまでの時間は0.01秒ですが、5Gでは4Gの10分の1のわずか0.001秒で、通信の遅延(タイムラグ)がほぼなくなります。この特徴の活用が期待されているのが自動運転技術です。自動運転車は前方の車と無線で通信をすることで車間距離を保って走行します。高速運転中に前方の車がブレーキを踏むと、後続車のブレーキが作動するまでに4Gでは1メートル以上進んでしまいますが、5Gならわずか数センチメートルで済み、事故を未然に防げる確率が高まります。17年3月にはトヨタ自動車とNTTが5G技術の自動車分野での活用で協業すると発表。安全性の高い自動運転車の実用化を目指しています。
 通信能力の大幅な向上は遠隔医療の実現につながりそうです。例えば患者に自宅で専用の装置を体に装着させ、遠く離れた医師が円筒状の装置の中に専用の手袋をはめて手を入れ、患者の体を擬似的に触診できるようになります。
 一定のエリアで大量の端末と同時に接続できるようになるのも5Gの特徴の1つです。通信基地局から同時に接続できる端末の数が4Gの10倍の1平方キロメートル当たり100万に増えます。産業機器などあらゆるモノがネットに接続し、お互いに情報をやりとりするIoTには5Gは欠かせません。
2017年11月6日掲載