ただ、5Gの実用化にはまだ技術的課題が残っています。その1つが周波数帯の広域化です。高速・大容量の無線通信を実現するためには周波数帯域を確保する必要がありますが、これまで通信・放送に使われてきた低い周波数帯はすでに飽和状態にあり、高い周波数帯を活用する必要があります。しかし、高周波数帯は電波が遠くまで届きにくく、安定性が低いため、高い周波数帯と既存の低い周波数帯を組み合わせることで安定性を確保する方法が考えられています。4Gでは基地局と端末がそれぞれ複数のアンテナを利用する「MIMO」という技術を採用していましたが、5Gではこれを高度化した技術「Massive MIMO」を採用することで、高周波数帯での伝送の質を高めることが検討されています。
このほか、基地局と端末の間でデータ送信の間隔を短縮し、データのやり取りの待ち時間を減らすことで通信の遅延を低減する技術も開発されています。