ビジュアル・ニュース解説

ロボットビジネスの最新事情を知る

2017.7.17 掲載
ロボットビジネスが世界で活況を呈しています。人手不足が深刻で製造業の高度化を急ぐ中国の需要急増や、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT化の進展を背景に、産業用ロボットの販売が伸びています。店頭や公共施設での接客・案内や介護支援、家事補助など、日常生活にもサービスロボットの導入が進み、ヒトの協働パートナーとしての地位を確立しつつあります。今回はロボットの基礎知識と開発の歴史や現状、普及に伴う課題について解説します。

3.サービスロボットの登場でより身近に

3.サービスロボットの登場でより身近に
 公共の場や家庭内で人と一緒に働くサービスロボットの開発も進んでおり、本格的な普及に期待が高まっています。ソフトバンクが15年6月に一般向けに発売したヒト型ロボット「ペッパー」はその代表格です。人工知能(AI)で人の表情や話す声の調子から感情を理解するなど高いコミュニケーション能力を持ち、店頭での接客などへの利用が広がっています。
 メーカー各社は20年の東京五輪開催に合わせて、ペッパーのような人とコミュニケーションができるヒト型ロボットの交通機関や公共施設、レジャー施設への導入を目指しています。日立製作所は16年9~12月に羽田空港でヒト型ロボット「エミュー3」に接客・案内サービスをさせる実証実験を、サンリオの子会社「ココロ」は17年3~5月に成田空港でヒト型ロボット「ココロ」の実証実験をそれぞれ実施しました。
 家庭内では家事労働を補助するさまざまなロボットが登場しています。先駆け的な存在のお掃除ロボットは窓や床拭きまで担えるようになるなど高機能化が進んでいます。
 パナソニックなどが出資するベンチャー企業、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズは洗濯物の自動折り畳み機「ランドロイド」の受注を17年9月に始めます。乾いた洗濯物を入れれば、シャツやタオルなどが種類別に折り畳まれて出てくる世界初の製品です。
 今後はAIを組み込んだロボットも増えそうです。その一つがAIスピーカーです。居間などに置き、人の声に従って情報を検索したり、音楽を再生したりするもので、IoTが普及すれば様々な家電をつなぐ「ハブ」になると期待されています。米国のアマゾン・ドット・コムやグーグルが先行して発売しており、17年夏にはLINEやNTTドコモなど日本勢が相次ぎ製品を投入します。米アップルも12月末に米国などで「ホームポッド」を発売する予定です。
 医療・介護の分野では、トヨタ自動車がリハビリ支援用のロボットを17年秋から医療機関などに貸与します。ホンダは歩行支援ロボット、パナソニックは電動ベッドと車椅子を融合した介護ロボットにそれぞれ注力しており、筑波大発ベンチャーのサイバーダインは使用者の手足の動きを助ける装着型ロボットを手掛けています。
 ドローン(小型無人機)もサービスロボットの一種です。英国ではアマゾンがドローンによる荷物の宅配実験を始めており、災害調査や空撮などでの商用利用が本格化しています。このほか、手術を支援するロボットや、運転手なしで目的地まで安全に走行する自動運転車などの開発が進んでいます。
2017年7月17日掲載