ビジュアル・ニュース解説

ロボットビジネスの最新事情を知る

2017.7.17 掲載
ロボットビジネスが世界で活況を呈しています。人手不足が深刻で製造業の高度化を急ぐ中国の需要急増や、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT化の進展を背景に、産業用ロボットの販売が伸びています。店頭や公共施設での接客・案内や介護支援、家事補助など、日常生活にもサービスロボットの導入が進み、ヒトの協働パートナーとしての地位を確立しつつあります。今回はロボットの基礎知識と開発の歴史や現状、普及に伴う課題について解説します。

2. 中国の人手不足などで産業用の業界が活況

2. 中国の人手不足などで産業用の業界が活況
 産業用ロボット業界はここ数年、好況が続いています。けん引しているのは人手不足に悩む中国です。日本ロボット工業会によると、17年1~3月期の中国向け輸出額(同工業会会員ベース)は前年同期比48.3%増の457億円と大幅に伸びました。17年の生産額(会員・非会員合計)は前年比7%増の7500億円と過去最高になると予想しています。
 中国では内陸部の発展で出稼ぎ労働者が減少しているうえ、都市部の若者は製造業を敬遠しがちで、人が集まりにくくなっています。この対策としてロボットの引き合いが増えており、製造業の高度化を目指す中国政府も企業に補助金を出して導入を促しています。
 中国の需要増を取り込もうと、産業用ロボット各社は投資を拡大しています。ファナックは18年にも、内陸部の重慶と南部の広州に販売・サービス機能と実機の展示場を備えた「テクニカルセンター」を開設するとともに、現地法人の人員増強を進めます。安川電機は江蘇省常州市の工場に新棟を建設。19年までに中国国内の月産台数を1200台以上と現在の2倍以上に増やします。不二越も18年までに中国で新工場を稼働し、生産能力を現在の約3倍の月1000台にする計画です。スイスのABBは17年中にも重慶に大規模な販売・サービス拠点を開設します。
 一方、欧米ではIoTの産業への活用の広がりでロボットに対する関心が高まっており、今後も世界的に産業用ロボットの需要増は続きそうです。
2017年7月17日掲載