ビジュアル・ニュース解説

有機ELについて知る

2017.4.17 掲載
スマートフォン(スマホ)やテレビの次世代ディスプレーの最右翼と期待される有機ELパネルがいよいよ本格的な普及期を迎えそうです。米アップルは年内に発売するスマホ「iPhone」の新型に有機ELパネルを採用するとみられ、韓国や中国などのメーカーが設備投資を拡大しています。国内電機メーカーも有機ELテレビの販売計画を相次ぎ発表しており、ディスプレーの液晶から有機ELへのシフトは加速の兆しを見せています。今回は有機ELパネルの基本的な仕組みや特長、国内外メーカーの動向について解説します。

3.国内外メーカーの設備投資が加速

3.国内外メーカーの設備投資が加速
 有機ELパネルはこれまで製品の良品率(歩留まり)が低く、製造コストが高いという問題がありました。このためサムスンとLGが量産する有機ELパネルも大半が自社の製品向けにとどまっていました。
 しかし、最近になって歩留まりが改善して製造コストが下がったことで、ディスプレーへの採用が広がっています。スマホ市場をけん引するアップルは、17年以降に発売するiPhoneに有機ELパネルを採用するとみられており、中国のスマホメーカーでも採用の動きが広がっています。
 有機ELの需要増を見込み、パネルメーカー各社は設備投資の拡大を加速しています。サムスン電子は16年に8兆ウォン(約7900億円)程度を投じて有機ELパネルの生産設備を拡充して生産能力をスマホ用パネル換算で5割以上増やし、供給体制の整備を急いでいます。LGディスプレーも今後数年間で有機ELパネルの増産に1兆円規模を投じて、スマホ向けの量産にも乗り出します。
 日本勢も動き出しています。12年に日立製作所と東芝、ソニーの液晶パネル事業を統合して発足したジャパンディスプレイ(JDI)は500億円を投じて17年春に有機ELの生産ラインを新設し、18年から本格量産を目指します。16年12月にはJOLEDを子会社化すると発表。液晶と有機ELの研究開発と営業部門を集約して他のメーカーに対抗できる体制を築きます。このほか、中国のパネルメーカーが政府の資金援助を武器に、有機ELパネルの生産に続々と乗り出しています。
 国内外メーカーの有機ELパネル生産の増強で、スマホ向けの有機EL市場は急成長する見込みです。
2017年4月17日掲載