EU内に渦巻いていた不満は英国のEU離脱を巡る国民投票で噴出。離脱支持が全体の過半数の51.9%を占めました。英国は2000年代に、東欧などEUの新たな加盟国から労働力として移民を積極的に受け入れ、移民の純増数は年間約30万人にも達します。その後の金融危機で、移民が雇用や社会の安定を脅かしているとの不満が労働者層を中心に高まっていました。もともと大陸と一定の距離を置いている英国内では、EUによる規制や法律は多過ぎ、主権への不当な干渉だとの声も広がっていました。
こうした状況を背景に、小政党だった英国独立党(UKIP)がEU離脱を掲げて急速に支持を拡大。与党の保守党内でもEUへの反発が高まりました。権力基盤の弱いキャメロン首相はこれに押される形で国民投票の実施を公約しました。EU離脱問題を巡り、英国では「Britain=英国」「Exit=出る」から「Brexit」(ブレグジット)という造語が生まれました。