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マイナンバー制度について知る

2015.4.20 掲載
行政手続きの効率化などを目指す社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度が2016年1月に導入されます。これに先だって15年10月に日本に住むすべての人に12桁の個人番号が通知されます。国や地方自治体は情報システムの改修など準備作業を急いでおり、企業も対応を迫られています。今回はマイナンバー制度の概要や3兆円ともいわれる関連市場を巡る業界の動向、制度の課題などについて解説します。

2.社会保障と税の情報を効率よく管理、民間サービス向上も(2)

2.社会保障と税の情報を効率よく管理、民間サービス向上も(2)
 国民の利便性向上も狙いの一つです。政府は17年1月から、マイナンバー関連の情報を閲覧できる専用サイト「マイポータル」を本格的に運用します。このサイトは日本年金機構や国税庁などのシステムと連携しており、自宅で税金の確定申告のほか、給与・報酬情報や年金の給付状況の確認などができます。マイポータルを利用する際に用いる「個人番号カード」には顔写真が付いており、氏名や住所、個人番号などが記載されています。電子証明書などの情報を記録したICチップを搭載しており、運転免許証と同様に身分証明書になります。
 もう一つの狙いは行政サービスの公平・公正性の確保です。個人の所得や福祉サービスの受給状況などを把握でき、年金や生活保護の不正受給などを見破りやすくなります。
 将来、マイナンバーの情報を金融機関や医療機関などと共有することで、民間サービスの効率化も期待できます。電子化されたカルテを個人番号で管理すれば、どこの病院でも患者の過去の治療歴や検査、投薬状況などを確認でき、より適切な医療が受けられるようになります。
2015年4月20日掲載