マイナンバー制度の導入に向けて、各行政機関は消費税の導入以来ともいわれる情報システムと通信環境の大規模な改修作業に追われています。企業活動にも大きな影響があります。16年の施行の際、従業員とその家族のマイナンバーを把握して、源泉徴収票をはじめ税務署などへの提出書類に記載することが義務づけられます。制度の施行後は、個人情報を保護するため管理する番号を専門の組織や専任者だけしか見られないようにする必要もあります。
マイナンバー制度導入に伴う国や自治体、企業などのシステム対応費用は総額3兆円ともいわれており、IT(情報技術)各社は大きな商機と捉えて開発に力を入れています。
マイナンバー制度を支える国の情報システムの一つ「個人番号生成システム」の一般競争入札では、NTTコミュニケーションズを代表とする国内IT大手5社が連合を組み約70億円で受注しました。自治体向けシステムの受注競争も激しくなっており、コンピューターウイルスの検知や、ウイルス侵入を防ぐセキュリティー分野では海外勢も受注を狙っています。企業向けの業務支援でもオービックが14年から中堅企業向け会計システムのマイナンバー対応版の開発に着手したほか、TKCが個人情報の漏洩リスクを避けるため、会計事務所向けシステムを改修するなど、IT各社の取り組みが活発化しています。