ネットを利用した選挙運動には、候補者をかたる「なりすまし」などが懸念され、従来とはまったく異なる違反行為をどう取り締まるかという課題があります。選挙違反と向き合うために、警察当局はネット犯罪専門の捜査員を投入する方針ですが、すべてのウェブサイトやメールをチェックすることは不可能です。実際には外部からの通報を待つことになりそうです。一般の有権者のメール送信による選挙違反が頻発する可能性もあります。警察や選挙管理委員会には、早い段階から新制度や違反行為について周知徹底が求められます。
とはいえ、選挙運動へのネット活用にはさまざまなメリットもあります。日本では若い世代の投票率の低さが問題視されていますが、メールやSNSはこの世代がよく利用しています。ネット解禁により若い世代の政治への関心が高まり、投票率の向上につながるかもしれません。今回の解禁をきっかけに、政治への関心が高まり、より幅広い国民の声が政策に反映されるようになることを期待したいところです。