ただ、有権者のメールについては注意が必要です。改正公選法では、政党や候補者にはメールを使った選挙運動が認められましたが、一般の有権者については禁止されました。メールは他人を装う「なりすまし」がしやすく、送信者の特定が難しいためです。
では、どのような文言をメールに書いたらいけないのでしょうか。与野党はネット選挙を解禁する改正公選法に沿った運用指針(ガイドライン)について合意。どのような表現が違法になるのか具体例を盛り込みました。判断基準となるのは「特定の候補者への投票を呼びかける表現かどうか」という点です。たとえば「○○候補が明日該当演説に来るよ」「○○候補はこんな政策を考えている」などの表現は問題ありません。しかしガイドラインによれば「○○候補に一票を入れよう」「○○候補の応援をよろしくお願いします」といった表現は法に抵触します。違反すると禁錮2年以下または50万円以下の罰金が課される可能性があります。また、候補者から送られてきた投票を呼びかける「選挙運動メール」を転送したり、添付文書などを配布、掲示したりすることも禁止されました。
一方、当選させたくない候補者がいるときに投票しないよう呼びかける「落選運動」はメールでも認められています(落選運動は選挙運動とされないため)。ただ、名誉毀損に当たるような誹謗(ひぼう)中傷には罰則がありますし、こうしたメールが事実上、別の候補への投票を呼びかける選挙運動メールだと受け取られることもあり得ます。
なお、メールの扱いについては夏の参院選後に改めて検討し、その次の国政選挙までに必要な措置を講ずることになっています。将来は全面的に解禁される可能性もあります。
政治に関心があって普段から候補者のメールマガジンに登録している人には、選挙期間中に選挙運動メールがどんどん送られてくるかもしれません。不要の場合は受信拒否の意思を伝える必要があります。