ビジュアル・ニュース解説

日本酒の国内需要減、高級化や輸出拡大に活路

2023.2.6 掲載
冬場は新米で仕込んだ日本酒の新酒が出回る時期です。日本酒は身近なお酒として愛されてきましたが、国内で需要減少が続く一方、海外への輸出は伸びています。今回は日本酒の製法や市場の現状などについて解説します。

3.付加価値を高めて高級化を目指す取り組み拡大

3.付加価値を高めて高級化を目指す取り組み拡大
 日本酒の付加価値を高めて高級化を目指す取り組みも広がっています。田嶋酒造(福井市)はワイン酵母を使った酒をオーク樽(だる)で熟成させています。花由来の「花酵母」を使って醸造する酒蔵も30蔵以上に増えています。人気の酒「而今(じこん)」の木屋正酒造が21年に有機米を使った日本酒を仕込むなど、有機米や無農薬米を使う動きも出ています。楯の川酒造(山形県酒田市)の代表銘柄「光明 出羽燦々」は山形県の酒造好適米を原料に、精米歩合1%と極限まで削った純米大吟醸で国内外の富裕層を引き付けています。
 新興の高級ブランドも人気を集めています。13年創業のスタートアップClear(クリア、東京・渋谷)は味わいや香りなどのコンセプトを企画して酒造会社に醸造を委託した、産地や米、製法などにこだわった銘柄をそろえています。同様の新興日本酒企画・販売会社Forbul(フォーブル、東京・千代田)の「TAKANOME(鷹ノ目)」はワインのようにペアリング(料理との相性)の幅広さを打ち出し、若い世代の日本酒需要もとらえています。
2023年2月6日掲載