ビジュアル・ニュース解説

世界有数の火山国・日本、富士山もいずれ噴火?

2022.6.20 掲載
日本は多くの活火山を抱える世界でも有数の火山国です。それだけに過去にはたびたび火山災害に見舞われており、今後もいつどこで噴火が起きても不思議ではありません。今回は日本に火山が多い理由や防災への備えなどについて解説します。

3.富士山が噴火すれば東京都心でも降灰しインフラに被害も

3.富士山が噴火すれば東京都心でも降灰しインフラに被害も
 活火山の中でも、噴火すれば広範囲で甚大な被害が出ることが想定されるのが富士山です。気象庁によると、富士山の噴火は781~1707年の1000年弱の間に少なくとも10回ありますが、1707年の宝永噴火以降、約300年にわたり静穏な状態が続いています。火山学者の多くはいつ噴火してもおかしくないとみています。静岡、山梨、神奈川の3県などでつくる「富士山火山防災対策協議会」が21年3月に改定した富士山ハザードマップでは、溶岩流の噴出量を貞観噴火(864~866年)の13億立方メートルと想定。火口から流れ出す溶岩流は山梨、神奈川、静岡の3県の27市町村に達する可能性があり、そのうち溶岩流が3時間以内に到達するのは山梨県の5市町村と静岡県の5市町としています。山梨県富士吉田市や静岡県の富士宮市、富士市、裾野市など8市町村は生命の危険が大きい火砕流や、噴火の熱で積雪が解ける融雪型火山泥流の発生が想定されます。火山灰が30センチメートル以上積もることが予想され、木造家屋が倒壊する恐れがあるのは23市町に上ります。
 内閣府の防災対策実行会議の調査によると、富士山が噴火すれば関東地方の広範囲に降灰し。東京都心でも2~10センチの灰が積もると予想されています。降灰すれば、自動車道路は視界不良で安全に走行するのが難しくなります。鉄道は0.1センチ以下の微量でも運行できなくなる恐れがあります。レールへの降灰が列車の位置の捕捉を妨げたり、進行方向を変えるポイントの作動不良が起きたりするためです。送電鉄塔や発電所の電力供給に欠かせない碍子(がいし)に積もった灰が雨でぬれれば漏電が起きて送電が停止することもあります。噴火時に周辺地域のインフラや経済活動を守る対策づくりが急務となっています。
2022年6月20日掲載