火山が噴火すれば大きな被害が出ることが少なくありません。1990年11月に噴火した雲仙普賢岳(長崎県)では、出てきたマグマが冷やされてドーム状に固まった溶岩ドームが崩壊。灰や石などが水蒸気や火山ガスと一緒に高速で山腹を駆け下りる大規模な火砕流が発生して43人の死者・行方不明者が出ました。2014年9月には御嶽山が突然噴火し、死者・行方不明者が63人に上る戦後最悪の噴火災害となりました。
気象庁火山噴火予知連絡会は陸上にある活火山のうち、噴火の可能性や噴火したときの影響が大きい50の火山を常時監視が必要として、地震計や地殻変動を調べる傾斜計、監視カメラなどを置いて24時間の観測体制を整えています。一般住民がいない硫黄島を除く49の火山では、火山活動に応じて警戒が必要な範囲と、住民や防災機関が取るべき対応を5段階で示す噴火警戒レベルを定めており、噴火の可能性が高まると火口周辺規制、入山規制、高齢者等避難、避難へと段階的に引き上げられます。ただし、噴火の予知・予測は難しく、成功したのは過去の傾向がわかっていた2000年の有珠山(北海道)噴火などに限られます。御嶽山や草津白根山など、警戒レベルが引き上げられないまま噴火した例も少なくありません。
日本近海には東京都の伊豆諸島や小笠原諸島、鹿児島県の南西諸島を中心に30~40の海底火山もあります。火山島を含めた海域火山は海上保安庁が北海道で1カ所、伊豆諸島で13カ所、小笠原諸島で9カ所、南西諸島で7カ所を監視しています。