ロシアのクリミア編入後、ウクライナ東部でロシアの支援を受けた親ロ派武装勢力による公的施設などの占拠が拡大し、制圧に乗り出した政府軍との武力衝突が激化しました。親ロ派武装勢力は現在、ウクライナ東部の約3分の1を支配しています。
戦闘の拡大を避けるため、15年2月にはドイツとフランスが仲介に乗り出し、ロシア、ウクライナとの4カ国首脳会談でウクライナ政府と親ロ派武装勢力の停戦が実現しました。
ただ、これに先立つ14年9月にも双方が停戦で合意したにもかかわらず戦闘が収束せず、直近の停戦合意後も一部地域で緊張状態が続いています。
ウクライナで今後想定される最悪の事態は、ウクライナ東部を欧米との緩衝地帯として影響下におきたいロシアが本格的な軍事介入に乗り出すことです。そうなれば欧米陣営も看過できず、ウクライナへの軍事的関与を深めることが予想され、戦闘がさらに激化する恐れがあります。
欧米の強い批判にもかかわらず、ロシアはなお強硬姿勢を崩していません。ロシアのプーチン大統領は15年3月に放映された国営テレビの番組で、ウクライナでヤヌコビッチ政権が崩壊した際、核戦力の使用も辞さない決意だったことを明かし、世界に衝撃が走りました。一方で、軍事的関与に慎重だった米国がウクライナ政府軍への武器供与を検討するなど、緊張の度合いは高まっています。ロシアと欧米が根気よく対話を続けて事態を沈静化できるのか。いま正念場を迎えています。
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