ビジュアル・ニュース解説

改正個人情報保護法、プライバシー保護など個人の権利拡大

2021.12.6 掲載
個人の氏名や顔写真などの個人情報を取り扱うインターネットのサービス普及に対応し、世界で個人情報保護の規制強化が進んでいます。国内でも個人データの不当な利用の停止請求や罰金の上限引き上げなどを盛り込んだ改正個人情報保護法が成立し、2022年4月から全面施行されます。今回は改正個人情報保護法の概要や改正の背景などについて解説します。

2.ネット広告や電子商取引の広がりに対応

2.ネット広告や電子商取引の広がりに対応
 個人情報保護法の改正の背景には、個人情報を活用したネット広告や電子商取引(EC)の拡大があります。データ分析技術の進化で、携帯電話の位置やパソコンの動作環境などの匿名データから、その人の好みや生活環境を予測できるようになっています。アプリや閲覧ソフト(ブラウザー)の検索・閲覧履歴から特定した消費者の「人物像」は本人と関係のない企業に送られることも多く、人物像に合わせたネット広告の配信は急拡大しています。米グーグルなど巨大IT(情報技術)企業は様々なサービスを通じてデータを集めており、世界各地の当局は警戒を強めています。
 21年3月には対話アプリLINEの国内の利用者の氏名や電話番号などの個人情報を中国の関連会社の従業員が閲覧できる状態になっていたことが明らかになりました。中国には政府が企業に情報提供を義務づける国家情報法があり、プライバシー侵害や安全保障上の問題が懸念されます。
2021年12月6日掲載