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企業の人権侵害

2022.8.5(金) 掲載
国際基準沿った対応必要
 企業は事業活動を通じて、人権を侵害することがある。人種や性別、宗教の違いで処遇に差をつけたり、不当に安い賃金で劣悪な環境下で働かせるような事例だ。国境を越えて事業活動を展開する企業は、各国での法令順守だけでなく、国際的な人権の基準に照らし合わせた対応が求められるようになってきた。
 企業の人権尊重を促す政策の先駆けが2015年に英国が制定した「現代奴隷法」だ。企業に供給網上の人権リスクの把握や調査、開示を要請する。その後、フランスやオーストラリアなどでも同じような法律がつくられた。企業の事業活動にともなう人権尊重侵害のリスクを把握し、予防策を講じる仕組みを「人権デューデリジェンス(DD)」とよぶ。
 日本政府は20年、企業に人権対応を求める「行動計画」を策定した。企業に対し人権DDを導入することへの「期待」を盛り込んだ。企業からは取り組みを進めるため、参考となる政府の指針を求める声があがっていた。経済産業省と外務省が21年に実施した調査では、人権DDに取り組んでいた上場企業は回答した760社のうち52%だった。