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法人税率引き下げ競争

2021.11.28(日) 掲載
80年代、米英が主導
 法人税率の引き下げ競争が本格化したのは1980年代からだ。グローバル経済の伸展で多国籍企業が台頭した。こうした企業が事業拠点を選定する際に、消費市場としての魅力に加えて税負担の水準も考慮するようになった。
 「小さな政府」や市場メカニズムを重視する新自由主義の考え方も競争を後押しした。米レーガン政権や英サッチャー政権は80年代、先進国の税率引き下げを主導した。米ソ冷戦が終結した後は新興国も競争に参加。経済成長エンジンとなる海外直接投資を呼び込もうと、各種の税制優遇策を組み合わせる動きも広がった。
 ひとたび誘致に成功しても、低い税負担を求める企業は移ろいやすい。法人税収の穴を埋めるために、所得税や日本の消費税に当たる付加価値税を引き上げると経済活動にゆがみが生じかねない。法人税引き下げ競争の弊害としてかねて指摘されてきた。