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大統領令

2021.1.22(金) 掲載
法的拘束力、政策を即実行
 米大統領が連邦政府や軍に対して出す行政命令やその権限を指す。法的な拘束力を持ち、議会の承認を得ずに実施することができる。合衆国憲法では大統領令について「執行権が米大統領に属する」と書かれているものの、詳細の規定はない。権限は通商政策や移民政策、国際的な枠組みへの参加など幅広い分野に及び、大統領に特権を与えていることを意味する。政策をすぐに実行に移せる大統領の強力な武器でもあり、歴代大統領が活用してきた。
 ただし大統領令も議会が命令発効を禁じる法律を制定したり、連邦最高裁が違憲判断を下したりすれば効力を失う。米企業などに中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の運営会社との「取引」を禁じる大統領令に端を発して事態は混乱しているが、トランプ政権による米国内でのアプリ配信禁止措置については米連邦地裁が2020年9月に一時差し止めの判断を下した。
 トランプ前大統領は17年の就任直後に、環太平洋経済連携協定(TPP)から「永久に離脱する」ことやメキシコとの国境に壁を建設する大統領令などを連発した。バイデン新大統領も就任直後に温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に復帰する大統領令などに署名し前政権からの方針転換を鮮明にしている。