きょうのことばセレクション

ベースアップ

2024.3.1(金) 掲載
 企業が賃金表を書き換えて、社員の基本給などを底上げすることをベースアップ(ベア)と呼ぶ。賃上げはベアと、勤続年数に伴って増える定期昇給からなる。年齢などにかかわらず社員の賃金を底上げすることが一般的で、基本給から算出されるボーナスなど、広く長く効果が及ぶ。
 企業にとっては、将来にわたって人件費が膨らむことにもなり、物価上昇や業績向上が伴わないなかではベアを実施しにくいとされる。実際、バブル崩壊後に長引いたデフレ下ではベアの実施も停滞していた。2014年に「官製春闘」が始まり、政府が企業に賃上げの実施を強く求めて消費の押し上げを目指した。
 連合は24年春季労使交渉で、賃上げ水準で5%以上、ベアで3%以上を求める方針を掲げた。ホンダなどが相次いで早期に満額回答を出したことが他の大手企業や中小に波及し、全体で高水準の賃上げにつながるかが今後の注目だ。法政大学の山田久教授は「価格転嫁や生産性向上のため、国の施策の更なる周知が必要だ」と指摘する。3月中旬の集中回答日に向け、各社で交渉が本格化する。
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