きょうのことばセレクション

座礁資産

2024.3.1(金) 掲載
 市場や社会環境の変容で価値が毀損したり、大きく目減りしたりする可能性のある資産を指す。2011年に国際環境NGOの「カーボントラッカー」が発表した報告書で初めて座礁資産の概念を提唱されたとされる。
 座礁資産の例として、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料に関連した資産があげられることが多い。化石燃料はエネルギー源として価値がある一方、温暖化ガスの排出量削減を求める声が強まっている。再生可能エネルギーの低価格化や消費者行動の変化に伴い使われなくなったりして、資産価値が大きく低下する恐れがある。化石燃料を資産に持つ企業は会計上の減損処理を迫られ、その企業へ投融資する投資家や金融機関には損失計上のリスクが発生する。
 座礁資産に転じる要因は多い。炭素税の導入など政策や規制の強化、投資家や消費者の行動変化による価格下落、洪水など物理的な変化など多岐にわたる。化石燃料の関連企業は、ビジネスモデルの見直しや新技術への投資、持続可能なエネルギー源へのシフトが必要となる。気候変動に直面する農業なども座礁資産になる恐れがあると指摘されている。
座礁資産