きょうのことばセレクション

M字カーブ

2023.5.1(月) 掲載
 女性の労働力率を年齢層別にグラフにすると、日本では20代後半から30代にかけてでくぼみ、アルファベットのMのような形に見えることから名付けられた。労働力率は15歳以上の人口のうち、働いている人と、働いてはいないが仕事を探している失業者を合わせた労働力人口の割合を示す。日本の女性では20代後半に高まった後、結婚や出産などを理由に30代で低下し、子育てが落ち着いた時期に再び上昇する傾向にあった。
 M字はなだらかに改善しており、欧州各国のようなくぼみのない「台形」に近づいている。国勢調査によると30代後半の女性の労働力率は2010年に6割台だったが、20年は78%まで上昇した。共働き世帯の拡大など女性の就労が増え、企業などが離職防止などに取り組んできたことが背景にある。男性の労働力率は20代後半から50代までほぼ横ばいをたどる。
 労働力率は上向くが、出産などを経た女性の多くが正規雇用の立場で仕事に戻れているわけではない。正規雇用率は20代後半をピークに右肩下がりを示す。非正規での雇用が中心となるためだ。女性のさらなる活躍には就業継続などの支援拡充に加え、家庭内での育児や家事の分担も求められる。
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