MMF

　主に短期資産で運用する投資信託の一種。政府短期証券や格付けの高い企業などが発行したコマーシャルペーパー（CP）などを投資対象として組み入れる。価格変動リスクの大きい株式には投資しない。預金に近い商品性で金利上昇の恩恵を受けやすい特徴がある。米国のMMFの資産残高は9月末時点で5兆ドル（約660兆円）に達し、グローバルで重要な資金の出し手の1つになっている。
　1971年に米投資会社が開発した。厳しいインフレ下の米国で、金利に上限規制があった銀行預金の代替商品として個人投資家に受け入れられた。残高の増加に伴って、最低投資金額が大きい機関投資家や事業法人向けのファンドも登場した。
　ただ、大量のマネーが集中した結果、金融市場の混乱に対する脆弱性が高まっているとの懸念もある。2008年のリーマン・ショック時には一部のMMFが元本割れしたのをきっかけに取り付け騒ぎが発生し、危機に拍車をかけた。新型コロナウイルスの感染が急拡大した20年3月も、MMFから資金が流出。米連邦準備理事会（FRB）が救済措置に乗り出す事態になった。