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システミックリスク

2022.11.1(火) 掲載
 個別金融機関の支払い不能や一部の市場の決済取引システムの目詰まりが他の金融機関や他市場に連鎖し、金融システム全体が機能不全に陥るリスクのこと。金融システムは網の目のように相互に結ばれているため、資金調達が難しくなった金融機関が取引先の金融機関に決済代金を払えなくなると、その金融機関からの支払いを見込んでいた別の金融機関も決済不能に陥る連鎖の危険性がある。
 それらの金融機関を利用している企業や個人の決済もできなくなり、実体経済に重大な影響を及ぼす。日本では1997年に三洋証券が経営破綻し、金融機関が資金をやりとりする短期金融市場でデフォルト(債務不履行)が起きた。資金の出し手が減り、北海道拓殖銀行や山一証券、日本長期信用銀行と大型破綻につながった。2008年にも米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに企業倒産などが相次ぎ、株式市場や債券市場の一段の混乱や世界的な景気後退を招いた。
 信用不安の連鎖を止めるためには、国が救済合併などで金融機関の破綻処理に関与したり、金融機関に資金注入したりする手法が一般的。通常時から、ストレステスト(資産査定)などを通じて金融機関の健全性を確認することなども重要とされる。
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