きょうのことばセレクション

リパトリエーション

2024.4.1(月) 掲載
 企業や個人などが海外で保有している資金を国内に戻す資金還流。もともとは人や物などの「本国への帰還」を意味する言葉で、略して「リパトリ」と呼ばれることが多い。資金還流が生じると大量の外貨売り・自国通貨買いが生じるため市場では自国通貨高要因として意識される。
 05年にブッシュ米政権は企業が国外利益を米国内に送金する際の税率を35%から5%程度まで引き下げる大幅減税を1年限りで実施。ドル高が進んだほか企業による株主還元拡大が意識され株価も上昇した。17年にトランプ政権も減税を進めたが恒久的な措置だったことから駆け込みの還流は少なく、ドル高効果は乏しかった。
 11年3月に発生した東日本大震災では保険会社が多額の保険金を支払ったり、企業が資金を確保したりするために海外で保有する外貨建て資産を国内に戻すという思惑が広がった。震災直前に1ドル=82円程度で推移していた円相場は10月に75円台と史上最高値をつけるなど大幅な円高が進んだ。もっとも実際には保険会社や企業による資金還流はほとんど観測されていない。
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