きょうのことばセレクション

小粒上場

2024.3.1(金) 掲載
 時価総額が小さいまま上場すること。資本力のある機関投資家の投資対象になりにくく、株主が個人に偏る傾向がある。売買が薄くなると新株発行による資金調達も難しくなり、成長を加速できない悪循環に陥る。
 新興企業が上場する東京証券取引所のグロース市場の新規株式公開(IPO)時の平均時価総額は2022年に101億円と、米国(当時のレートで約2300億円)に比べて規模が小さい。米CBインサイツによると米国で企業価値が10億ドル(約1500億円)以上の非上場企業を指す「ユニコーン」は23年10月に約650社と世界の過半を占めるが、日本は7社にとどまる。
 小粒上場を減らすには上場予備軍に機関投資家や富裕層の資金を呼び込む必要がある。早期のIPOは創業者や新興企業に投資するベンチャーキャピタル(VC)の資金回収の側面も強い。非上場の段階でもVCなどが資金を回収しやすい流通市場の創設も必要だ。東証はグロース市場の上場基準の引き上げも検討している。
小粒上場