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スリランカの債務問題

2024.4.7(日) 掲載
残高373億ドル、中国が最大
 スリランカは2009年に内戦を終結させた。その過程で非人道的な行為があったなどとして欧米やインドが距離をとるなか、中国からの投資を積極的に受け入れた。マヒンダ・ラジャパクサ元大統領の地元であるハンバントタなどで、インフラ整備が進んだ。採算が合わない事業も目立ち、支援と引き換えに権益を奪われる「債務のわな」とも指摘された。
 マヒンダ氏の弟であるゴタバヤ・ラジャパクサ大統領時代には財政赤字に直面するなか、新型コロナウイルス禍で主な外貨獲得手段である観光業が低迷した。ウクライナ危機による燃料などの国際市況の悪化にも見舞われ、スリランカは22年に対外債務の支払い停止を発表した。
 23年末時点の対外債務の残高は373億ドル。内訳をみるとアジア開発銀行や世界銀行といった国際機関や民間が多い。2国間債務は中国が最大で日本が続く。日本やインドなどは債権国会議を発足させ、中国もオブザーバー参加している。スリランカは中東・アフリカと東アジアを結ぶシーレーン(海上交通路)上の要衝にある。債務再編交渉を通じて、各国との関係がどのように変化するかも注目される。