きょうのことばセレクション

国の基金

2024.1.1(月) 掲載
 必要額があらかじめ見込みにくく、単年度の予算計上が難しい特定の事業などのために国が積み立てている資金。独立行政法人や公益法人などが国から交付された補助金をほかの財産と分けて管理する。国の予算に金額を計上して新規に設置したり、既存の基金に積み増したりする。国だけでなく地方自治体が保有する例もある。
 複数年度にわたり事業を長期目線で進められる利点がある。一方で使い道が不明瞭だったり、設定後の管理がおろそかになったりする点が問題視される。あらかじめ積み増した基金を補助金として交付する「取り崩し型」や、貸し付けや出資など最終的に資金を回収する「回転型」、取り崩さずに運用益の範囲で事業を実施する「運用型」などがある。
 2008年のリーマン・ショック後の経済対策などで徐々に活用が始まったが、規模はさほど大きくなかった。新型コロナウイルス禍後の補正予算で脱炭素や経済安全保障、教育などで各省庁が要求する大型基金の設置が相次ぐようになった。多くが「取り崩し型」だった。巨額の予備費と並んでムダ遣いの恐れを指摘する声も高まった。
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