きょうのことばセレクション

労働分配率

2024.1.1(月) 掲載
 企業などが生み出した付加価値のうち、どの程度が労働者に賃金などとして分配されたかを示す指標。販売額からコストを差し引いた付加価値で人件費を割ったり、国民所得で雇用者報酬を割ったりする手法がある。値が高いほど、企業にとって人件費の負担が重くなっていることになる。
 中小企業はすでに人件費比率が高く、持続的な賃上げをする余力が大企業に比べて小さいとの指摘がある。法政大学の山田久教授によると、中小企業の労働分配率はおおむね70~80%台で推移してきた。限られた収益から、すでに高い比率で人件費を捻出しており、賃上げを続けるには収益自体をもっと高めなければならない。
 大企業はここ数年は低下傾向にあり、足元では40%を割り込んでいる。賃上げ余力のある大企業が率先して賃上げ機運を醸成するだけでなく、取引先の中小の収益向上にも貢献する必要がある。率先して中小からの購買価格を引き上げたり、生産性向上を支援したりする姿勢も求められる。
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