きょうのことばセレクション

培養魚肉

2023.12.1(金) 掲載
 魚の細胞を採取し、栄養分を加えた培養液の中で増殖させて作る魚肉。鶏などの培養肉も同様の方法で作られる。大豆などが原料の植物肉と違ってどちらも動物の細胞を用いており、細胞培養食品とも呼ぶ。天然の水産物は気候変動や乱獲で枯渇が懸念されている。世界の人口増で需要が増えるなか、食料確保策の一つとして開発競争が活発だ。
 認可などのルールが整うシンガポールや米国では培養肉の一般向け販売が先行して始まっており、培養魚肉も後を追う。日本では細胞培養食品のルールが未整備でまだ販売できないが、官民で安全確保や表示などルールのあり方の検討が進んでいる。
 魚の細胞は培養肉より培養に適した温度が低いなど独自のノウハウがいる。製造コストを抑えるため、最適な細胞や栄養、温度などの選択に人工知能(AI)を活用する動きがある。普及には本物の魚のうま味や食感の再現も不可欠となる。マルハニチロは味や食感の調整に植物性たんぱくや油脂を用いるほか、筋肉や脂肪など複数の細胞を培養して組み合わせる方法も検討している。
培養魚肉