きょうのことばセレクション

浮体式洋上風力

2023.11.1(水) 掲載
 海や湖などで発電する洋上風力発電の一種で、風車がついている発電設備を海底に固定せず水面に浮かばせるものを指す。現時点では土台を海底に固定する「着床式」に比べて設置や保守のコストが高い一方、100メートル以上の深いエリアでも設置できるため潜在的な需要は大きい。沿岸の住民との景観や騒音などを巡るトラブルも水深のある沖合の方が起きにくいとされる。
 四方を海に囲まれた日本は洋上風力が多く導入できるが、近海には着床式の設置に適した遠浅の地形が少ない。再生可能エネルギーの導入拡大を進める日本にとっては着床式の洋上風力だけでは水深の比較的浅い海域に限られるため、深い海域でも設置できる浮体式の導入は欠かせない。国内で浮体式を開発できる海域の余地は着床式の3倍に達するという試算もある。
 英国は浮体式の洋上風力を30年までに5ギガ(ギガは10億)ワット導入する目標を掲げ、米国は35年までに15ギガワットの導入目標を示している。日本も今後浮体式の目標を定める見通しで、各国が導入を急いでいる。
浮体式洋上風力