きょうのことばセレクション

解散命令

2023.11.1(水) 掲載
 宗教法人法は「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」や「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」がみられた場合、「1年以上にわたり代表役員がいない」場合などに所轄庁や検察官が解散命令を裁判所に請求できるとしている。文化庁によると2012~22年の請求は97件で、多くは休眠法人だった。
 戦前に宗教弾圧を進めた反省から、同法は「いかなる規定も宗教上の行為を制限するものと解釈してはならない」と規定。憲法が保障する「信教の自由」の観点からも、手続きに慎重さを求めている。解散命令の要件に該当する疑いがあれば、同法上の「質問権」を行使して資料の提出を求められるが、施設内に立ち入るには法人の代表者などの同意が必要となる。
 宗教法人は21年末時点で全国に約18万法人ある。過去に法令違反の行為を理由に解散命令が請求され、確定したのはオウム真理教と明覚寺(和歌山県)の2例のみ。いずれも幹部らの刑事事件が根拠で、最高裁まで争われた。
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