きょうのことばセレクション

リテールテック

2023.8.1(火) 掲載
 IT(情報技術)を使い決済や在庫管理、物流など小売業の現場を効率化させる次世代技術。倉庫や店舗のカメラやセンサーのデータを人工知能(AI)が分析し、ロボットが商品を棚から自動で抜き出したり、商品の陳列を変えて顧客が買い回りしやすくなったりする。スマートフォンと連携して位置情報や決済アプリを使って無人の店舗を運営する。
 背景には深刻な人手不足がある。店舗の人件費の3割がレジ要員とされるが、賃金上昇で経営を圧迫。電子商取引(EC)で倉庫の商品量が膨大になり、物流の効率化も急務だ。自分で商品のバーコードをスキャンして決済する「セルフレジ」やロボットを活用した在庫の管理、自律走行車による配達などで負担を軽減する。
 調査会社のグローバルインフォメーションなどによると、世界のリテールテック市場は2022年に347億㌦(約4兆9000億円)だったが、27年に3倍の1025億㌦に拡大する見通し。ECが普及し、行動制限がなくなり実店舗の買い物も回復する中、小売り各社はECと実店舗の両方を物流で効率的に運営することが求められる。薄利多売の収益構造の中でIT投資を厚くできるかが、優勝劣敗を決める。
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