きょうのことばセレクション

年収の壁

2023.8.1(火) 掲載
 配偶者に扶養されるパートやアルバイトの労働者について、年収が一定額に達すると税金や社会保険料が天引きされ、手取りが減少してしまう問題。世帯収入への影響を懸念し、勤務時間を抑制する人が少なくない。こうした就業調整が、日本が足元で直面する人手不足に拍車をかけているとの指摘がある。
 年収が「103万円の壁」を超えると所得税が、101人以上の企業の場合は「106万円の壁」で社会保険料がかかる。その対象でない場合も「130万円の壁」で配偶者の年金扶養から外れ社会保険を払う必要がある。「150万円の壁」で配偶者特別控除が縮小する。
 厚生労働省は壁を意識せず働けるよう、25年の年金制度改正に向け、短時間労働者への厚生年金の適用拡大や、第3号被保険者制度の見直しを進める。また当面の対応として、政府は雇用保険料を財源に壁を越えても手取りが減らないよう、賃上げなどに取り組む企業を対象にした助成金制度を創設する方針も示している。
年収の壁