きょうのことばセレクション

都市鉱山

2023.7.1(土) 掲載
 都市で生じる使用済みの家電や電子機器などに含まれる金属資源を鉱山に例え、再利用を促す概念を指す。1980年代に提唱された言葉で、最近は世界的な脱炭素化の流れを踏まえ、必要な鉱物資源の枯渇リスクに備えた確保策の1つと位置づけられる。
 日本は資源の多くを輸入に頼るため、調達網を多様化するためにも都市鉱山の活用が欠かせない。家電リサイクル法にもとづく金や銀、鉄などの回収も進める。電気自動車(EV)の電池に使うリチウムやニッケルといった資源を効率的にリサイクルできる仕組みづくりも不可欠だ。
 EV用電池などで需要が拡大しているレアメタル(希少金属)の確保では、主要7カ国(G7)が都市鉱山からの回収で連携する。米中対立は深まっており、生産大国である中国などからの供給途絶リスクに備える。米地質調査所によると、主要なレアメタルの生産量でG7の世界シェアは平均で1割に満たない。経済安全保障の面からも多国間での供給網構築は急務となっている。
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