きょうのことばセレクション

対中輸出規制

2022.12.1(木) 掲載
 米国政府が導入している中国への輸出を規制する措置を指す。米国はトランプ前政権から中国企業へのハイテク規制を強めてきた。2018年に輸出管理改革法が成立し、中国やロシアなどに重要な技術が流出しないように法律を整備した。体制間競争ととらえる中国との軍事・経済両面での覇権争いで優位に立つのが狙いだ。輸出管理は米商務省が担い、日本の政省令改正に近い形で運用している。
 19年5月には華為技術(ファーウェイ)への半導体輸出を許可制にし、事実上禁じた。ソニーなど日本企業も出荷を一時止めるなどの対応を迫られた。先端半導体が輸出管理の中心になるのは「極超音速ミサイル」など最新の軍事装備品の根幹技術だからだ。軍民融合を進める中国に先端技術が渡ると、安全保障のリスクが高まるとみる。
 輸出管理を担当するエステベズ商務次官は「我々は貿易と国家安全保障のバランスはとらない」と断言し、企業の売上高が落ちても安保を優先する姿勢を鮮明にする。「中国が先端技術を手に入れられなくなれば、精密兵器の能力は時間とともに低下していく」と規制の意義をとなえる。
対中輸出規制