きょうのことばセレクション

日中国交正常化

2022.10.1(土) 掲載
 1972年9月29日、日中両国は田中角栄首相と周恩来首相が日中共同声明に署名し、途絶えていた国交を正常化した。日本は声明で「中華人民共和国が中国の唯一の合法政府」と承認し、台湾と断交した。「台湾が中国の領土の不可分の一部」とする中国側の立場について、日本は「十分理解し、尊重」するとも記した。
 きっかけは米国が中国に接近したことだった。ニクソン米大統領が72年2月、長く対立してきた中国を訪問し、対中政策で米国と足並みをそろえてきた日本は衝撃を受けた。その5カ月後に首相に就任した田中氏が中国との国交正常化を急いだ。
 両国は当初、友好に軸足を置いた。日本は79年に対中政府開発援助(ODA)を開始し、中国の経済発展を後押しした。中国が経済・軍事両面で影響力を強めるにつれ歴史問題や海洋進出などを巡る対立が目立つようになった。
日中国交正常化